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宮沢賢治《橡子與山貓》

宮沢賢治《橡子與山貓》



どんぐりと山貓

橡子與山貓


宮沢賢治


朗読:石田彰


おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。

某個星期六傍晚,一郎收到一封莫名其妙的明信片。上面寫著:


かねた一郎さま九月十九日


あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。


あした、めんどなさいばんしますから、おいで


んなさい。とびどぐもたないでくなさい。

山ねこ拝


金田一郎先生:


你最近過得好像還不錯,很好,很好。


明天有一場難纏的官司待審,請你務必參加。


不過請別帶槍械或弓箭等任何武器來。

山貓 敬啟


九月十九日


こんなのです。字はまるでへたで、墨すみもがさがさして指につくくらいでした。けれども一郎はうれしくてうれしくてたまりませんでした。はがきをそっと學校のかばんにしまって、うちじゅうとんだりはねたりしました。


明信片上的字跡拙劣,粗糙的墨汁也斑斑脫落,沾得滿手都是,不過一郎仍高興得手舞足蹈。他偷偷地將明信片藏在書包里,不停在房裡又蹦又跳。

ね床どこにもぐってからも、山貓のにゃあとした顔や、そのめんどうだという裁判のけしきなどを考えて、おそくまでねむりませんでした。


夜晚鑽進被窩後,仍不停想像著山貓那喵喵臉,和明天將開庭的所謂難纏官司的情景,遲遲睡不著覺。


けれども、一郎が眼めをさましたときは、もうすっかり明るくなっていました。おもてにでてみると、まわりの山は、みんなたったいまできたばかりのようにうるうるもりあがって、まっ青なそらのしたにならんでいました。一郎はいそいでごはんをたべて、ひとり谷川に沿ったこみちを、かみの方へのぼって行きました。


當一郎睡醒時,天已經很亮了。他出門一看,只見四周的山巒青翠得像剛出土似的,連綿起伏在蔚藍的天空下。一郎匆匆吃完早餐,單槍匹馬沿著溪谷旁的小徑朝上游攀登上去。


すきとおった風がざあっと吹ふくと、栗くりの木はばらばらと実をおとしました。一郎は栗の木をみあげて、


清新的晨風迎面吹來,粟子樹嘩啦嘩啦撒了滿地的粟子。一郎舉頭望著粟子樹問:


「栗の木、栗の木、やまねこがここを通らなかったかい。」とききました。栗の木はちょっとしずかになって、


「粟子樹,粟子樹,你看到山貓從這兒經過嗎?」粟子樹稍稍停止了撒粟子,回說:


「やまねこなら、けさはやく、馬車でひがしの方へ飛んで行きましたよ。」と答えました。


「山貓啊,今天一大早就乘著馬車往東方飛奔去了。」


「東ならぼくのいく方だねえ、おかしいな、とにかくもっといってみよう。栗の木ありがとう。」


「東方的話,正是我走的這個方向吧!怎麼還沒到?再走一段路看看。粟子樹,謝謝你。」


栗の木はだまってまた実をばらばらとおとしました。


粟子樹沒應聲,只再度嘩啦嘩啦撒起它的粟子。


一郎がすこし行きますと、そこはもう笛ふえふきの滝たきでした。笛ふきの滝というのは、まっ白な岩の崖がけのなかほどに、小さな穴があいていて、そこから水が笛のように鳴って飛び出し、すぐ滝になって、ごうごう谷におちているのをいうのでした。


一郎走了一會兒,來到吹笛瀑布下。那是在一層白色岩石崖壁中間,裂著一個小洞,水從小洞發出吹笛般的聲響飛濺而出,再形成一道瀑布轟然墜入谷底的地方。


一郎は滝に向いて叫さけびました。


一郎對著瀑布大喊:


「おいおい、笛ふき、やまねこがここを通らなかったかい。」


「喂……!吹笛子的,山貓有沒有經過這裡?」


滝がぴーぴー答えました。


瀑布嗶……嗶……地回答:


「やまねこは、さっき、馬車で西の方へ飛んで行きましたよ。」


「山貓剛剛乘著馬車往西方飛奔去了!」


「おかしいな、西ならぼくのうちの方だ。けれども、まあも少し行ってみよう。ふえふき、ありがとう。」


「奇怪,西方是我家的方向呢。算了,再往前走看看。吹笛子的,謝謝你。」


滝はまたもとのように笛を吹きつづけました。


瀑布又繼續吹著它的笛子。


一郎がまたすこし行きますと、一本のぶなの木のしたに、たくさんの白いきのこが、どってこどってこどってこと、変な楽隊をやっていました。


一郎再往前走了一會兒,來到一株山毛櫸樹下。樹下有一大堆白色草菇,正在叮咚叮咚吹奏著奇妙的曲子。


一郎はからだをかがめて、


一郎蹲下身問:


「おい、きのこ、やまねこが、ここを通らなかったかい。」とききました。


「喂,草菇啊,山貓有沒有經過這裡?」


するときのこは


草菇回說:


「やまねこなら、けさはやく、馬車で南の方へ飛んで行きましたよ。」とこたえました。一郎は首をひねりました。


「山貓啊,今天一大早就乘著馬車往南方飛奔去了。」一郎歪著頭說:


「みなみならあっちの山のなかだ。おかしいな。まあもすこし行ってみよう。きのこ、ありがとう。」


「南方不是在那邊山裡嗎?真是奇怪。算了,再往前走看看。草菇,謝謝你。」


きのこはみんないそがしそうに、どってこどってこと、あのへんな楽隊をつづけました。


草菇們不回話,繼續吹奏起那奇妙的曲子。


一郎はまたすこし行きました。すると一本のくるみの木の梢こずえを、栗鼠りすがぴょんととんでいました。一郎はすぐ手まねぎしてそれをとめて、


一郎又往前走了一會兒。然後遇見在一株核桃樹梢上蹦跳的松鼠。一郎舉手招呼松鼠停下來,再問:


「おい、りす、やまねこがここを通らなかったかい。」とたずねました。するとりすは、木の上から、額に手をかざして、一郎を見ながらこたえました。


「喂,松鼠啊,山貓有沒有經過這裡?」松鼠抬起手遮在額頭上,從樹梢俯望著一郎,回說:


「やまねこなら、けさまだくらいうちに馬車でみなみの方へ飛んで行きましたよ。」


「山貓啊,天還沒亮就乘著馬車往南方飛奔去了。」


「みなみへ行ったなんて、二ふたとこでそんなことを言うのはおかしいなあ。けれどもまあもすこし行ってみよう。りす、ありがとう。」りすはもう居ませんでした。ただくるみのいちばん上の枝えだがゆれ、となりのぶなの葉がちらっとひかっただけでした。


「怎麼會是南方?怎麼會在兩個不同的地方都說是南方呢?算了,再往前走看看。松鼠,謝謝你。」松鼠早已不見蹤影。只是核桃樹頂端的樹梢微微晃動著,旁邊的山毛櫸的葉子也閃亮了一下而已。


一郎がすこし行きましたら、谷川にそったみちは、もう細くなって消えてしまいました。そして谷川の南の、まっ黒な榧かやの木の森の方へ、あたらしいちいさなみちがついていました。一郎はそのみちをのぼって行きました。榧の枝はまっくろに重なりあって、青ぞらは一きれも見えず、みちは大へん急な坂になりました。一郎が顔をまっかにして、汗あせをぽとぽとおとしながら、その坂をのぼりますと、にわかにぱっと明るくなって、眼がちくっとしました。そこはうつくしい黃金きんいろの草地で、草は風にざわざわ鳴り、まわりは立派なオリーブいろのかやの木のもりでかこまれてありました。


一郎又往前走了一會兒,不過這道延著溪谷的小徑早已越走越狹窄,最後竟斷絕了去路。所幸溪谷南方另有一道小徑,是通往黑森森的榧子樹叢林里。一郎順著小徑往上攀登。黑黝黝的榧子樹枝重迭在上空,把青空遮得密不通風,小徑坡度也變得很陡。一郎滿臉通紅,汗流浹背地往上攀爬,突然眼前一亮,亮得甚至有點刺眼。原來他來到一片金黃燦燦的草原,草被風吹得沙沙作響,四周圍繞著茂密的橄欖色榧子樹樹林。


その草地のまん中に、せいの低いおかしな形の男が、膝ひざを曲げて手に革鞭かわむちをもって、だまってこっちをみていたのです。


草地中央,有個身材矮小長相怪異的男人,手持皮鞭,屈膝默默望著一郎。


一郎はだんだんそばへ行って、びっくりして立ちどまってしまいました。その男は、片眼で、見えない方の眼は、白くびくびくうごき、上著のような半纒はんてんのようなへんなものを著て、だいいち足が、ひどくまがって山羊やぎのよう、ことにそのあしさきときたら、ごはんをもるへらのかたちだったのです。一郎は気味が悪かったのですが、なるべく落ちついてたずねました。


一郎往前挨近,來到男人身旁時不禁大吃一驚頓住腳步。因為那男人是獨眼,另一隻翻白看不到東西的眼睛,更不停地抽搐著;身上穿著一件類似外套又類似短褂的奇妙上衣,雙腳更是彎曲得像山羊腳,而且腳尖竟然是盛飯的飯勺形狀。這雖然讓一郎感到有些不舒服,但他盡量讓自己平靜地問道:


「あなたは山貓をしりませんか。」


「請問你見到山貓沒有?」


するとその男は、橫眼で一郎の顔を見て、口をまげてにやっとわらって言いました。


男人斜眼望著一郎,撇著嘴笑道:


「山ねこさまはいますぐに、ここに戻もどってお出でやるよ。おまえは一郎さんだな。」


「山貓大人不久就會回來,你是一郎吧?」


一郎はぎょっとして、一あしうしろにさがって、


一郎暗吃一驚,往後退了一步回說:


「え、ぼく一郎です。けれども、どうしてそれを知ってますか。」と言いました。するとその奇體きたいな男はいよいよにやにやしてしまいました。


「是的,我是一郎。你怎麼知道?」那個怪異男人笑得更深:


「そんだら、はがき見だべ。」


「那麼,你是收到明信片了?」


「見ました。それで來たんです。」


「收到了,所以我才來這裡。」


「あのぶんしょうは、ずいぶん下手だべ。」と男は下をむいてかなしそうに言いました。一郎はきのどくになって、


「那封信的內容,寫得很糟的。」男人低下頭難過地說。一郎有點於心不忍,安慰說:


「さあ、なかなか、ぶんしょうがうまいようでしたよ。」


「是嗎?我覺得寫得很好呢。」


と言いますと、男はよろこんで、息をはあはあして、耳のあたりまでまっ赤になり、きもののえりをひろげて、風をからだに入れながら、


男人聽後高興得喘著大氣,整個臉紅到耳根。他敞開上衣的領口,讓風灌進裡面。


「あの字もなかなかうまいか。」とききました。一郎は、おもわず笑いだしながら、へんじしました。


「那些字是不是也寫得不錯?」一郎忍不住笑出聲來,回他說:


「うまいですね。五年生だってあのくらいには書けないでしょう。」


「寫得很漂亮啊!就算是五年級的也寫不出那麼漂亮的字來呢。」


すると男は、急にまたいやな顔をしました。


男人聽後,皺起眉頭:


「五年生っていうのは、尋常じんじょう五年生だべ。」その聲が、あんまり力なくあわれに聞えましたので、一郎はあわてて言いました。


「你說的五年級是小學五年級吧?」聲音有氣無力,聽起來可憐兮兮的。一郎只好急忙回說:


「いいえ、大學校の五年生ですよ。」


「不不,我說的是大學五年級。」


すると、男はまたよろこんで、まるで、顔じゅう口のようにして、にたにたにたにた笑って叫びました。


男人聽後又高興得咧開嘴,笑得彷佛整張臉都是嘴巴一樣,再大聲歡呼:


「あのはがきはわしが書いたのだよ。」


「那封明信片正是我寫的!」


一郎はおかしいのをこらえて、


一郎忍著笑問:


「ぜんたいあなたはなにですか。」とたずねますと、男は急にまじめになって、


「請問你究竟是誰?」


「わしは山ねこさまの馬車別當べっとうだよ。」と言いました。


男人馬上正色地回說:「我是山貓大人的馬車夫。」


そのとき、風がどうと吹いてきて、草はいちめん波だち、別當は、急にていねいなおじぎをしました。


說完,四周突然颳起一陣勁風,整片草原滾滾起浪,馬車夫趕忙恭謹地彎腰行禮。


一郎はおかしいとおもって、ふりかえって見ますと、そこに山貓が、黃いろな陣羽織じんばおりのようなものを著て、緑いろの眼をまん円にして立っていました。やっぱり山貓の耳は、立って尖とがっているなと、一郎がおもいましたら、山ねこはぴょこっとおじぎをしました。一郎もていねいに挨拶あいさつしました。


一郎納悶地回頭,只見身披黃色斗篷的山貓,正睜大著圓圓的綠眼睛站在身後。一郎正在暗忖,山貓的耳朵果然是尖尖豎立著,山貓卻先向一郎點頭打招呼。一郎也恭恭敬敬地回個禮:


「いや、こんにちは、きのうははがきをありがとう。」


「你好,謝謝你昨天寄給我的明信片。」


山貓はひげをぴんとひっぱって、腹をつき出して言いました。


山貓豎直鬍鬚,挺著肚子說:


「こんにちは、よくいらっしゃいました。じつはおとといから、めんどうなあらそいがおこって、ちょっと裁判にこまりましたので、あなたのお考えを、うかがいたいとおもいましたのです。まあ、ゆっくり、おやすみください。じき、どんぐりどもがまいりましょう。どうもまい年とし、この裁判でくるしみます。」山ねこは、ふところから、巻煙草まきたばこの箱はこを出して、じぶんが一本くわえ、


「你好,歡迎光臨。事情是這樣的,前天發生一宗很麻煩的爭執,我不知道該怎麼判決這宗官司,所以想請你來給我們拿個主意。請坐吧,先休息一下,不一會兒橡子們大概也會趕來。我每年都得為了同樣的爭執而頭痛好幾天。」山貓從懷中掏出雪茄盒,自己銜上一支,又將盒子遞給一郎:


「いかがですか。」と一郎に出しました。一郎はびっくりして、


「要不要來一支?」一郎嚇了一跳,趕忙搖頭:


「いいえ。」と言いましたら、山ねこはおおようにわらって、


「不不,我不抽。」山貓心情舒暢地笑說:


「ふふん、まだお若いから、」と言いながら、マッチをしゅっと擦すって、わざと顔をしかめて、青いけむりをふうと吐はきました。山ねこの馬車別當は、気を付けの姿勢で、しゃんと立っていましたが、いかにも、たばこのほしいのをむりにこらえているらしく、なみだをぼろぼろこぼしました。


「喔,你還太年輕了。」他一邊說一邊劃亮火柴,再故意皺起眉頭,噴出一口青煙。山貓的馬車夫,畢恭畢敬地立正在一旁,不過卻好像在拚命忍耐著想抽煙的誘惑,淚珠簌簌掉落。


そのとき、一郎は、足もとでパチパチ塩のはぜるような、音をききました。びっくりして屈かがんで見ますと、草のなかに、あっちにもこっちにも、黃金きんいろの円いものが、ぴかぴかひかっているのでした。よくみると、みんなそれは赤いずぼんをはいたどんぐりで、もうその數ときたら、三百でも利きかないようでした。わあわあわあわあ、みんななにか雲いっているのです。


這時,一郎聽到腳邊響起一陣炒鹽巴似的爆裂聲。他嚇了一跳,蹲下身察看,發現草叢裡到處都是閃閃發光的金黃色東西。仔細再看,原來都是穿著紅色褲子的橡子。數目多得恐怕超過三百個。橡子們哇哇亂叫,好像在爭執些什麼。


「あ、來たな。蟻ありのようにやってくる。おい、さあ、早くベルを鳴らせ。今日はそこが日當りがいいから、そこのとこの草を刈かれ。」やまねこは巻たばこを投げすてて、大いそぎで馬車別當にいいつけました。馬車別當もたいへんあわてて、腰こしから大きな鎌かまをとりだして、ざっくざっくと、やまねこの前のとこの草を刈りました。そこへ四方の草のなかから、どんぐりどもが、ぎらぎらひかって、飛び出して、わあわあわあわあ言いました。


「喔,來了。像螞蟻大軍似地聚過來了。喂,趕快搖鈴。今天前面那塊地日照比較好,就將那兒的草全割掉吧!」山貓彈開手指上的雪茄,匆忙向馬車夫交代。馬車夫也趕忙從腰際抽出一把大鐮刀,大把大把地割起山貓面前那片草地。一割完,四面八方的草叢裡即滾出一大堆亮晶晶的橡子,爭先恐後地哇啦哇啦一直吵。


馬車別當が、こんどは鈴すずをがらんがらんがらんがらんと振ふりました。音はかやの森に、がらんがらんがらんがらんとひびき、黃金きんのどんぐりどもは、すこししずかになりました。見ると山ねこは、もういつか、黒い長い繻子しゅすの服を著て、勿體もったいらしく、どんぐりどもの前にすわっていました。まるで奈良ならのだいぶつさまにさんけいするみんなの絵のようだと一郎はおもいました。別當がこんどは、革鞭かわむちを二三べん、ひゅうぱちっ、ひゅう、ぱちっと鳴らしました。


馬車夫再叮啷叮啷地搖起鈴。鈴聲響澈整個榧子林,金黃橡子們聽到鈴聲後,才稍稍安靜下來。再看山貓,只見山貓不知於何時已穿上一件黑緞長衫,煞有介事地坐在橡子們面前。一郎覺得這景象好似一幅眾徒在奈良大佛前參拜的畫像。馬車夫則又咻咻地揮了兩三下手中的皮鞭。


空が青くすみわたり、どんぐりはぴかぴかしてじつにきれいでした。


天空蔚藍清澈,橡子們晶瑩閃爍著,實在是幅美景。


「裁判ももう今日で三日目だぞ、いい加減になかなおりをしたらどうだ。」山ねこが、すこし心配そうに、それでもむりに威張いばって言いますと、どんぐりどもは口々に叫びました。


「今天已是審判的第三天,你們就省事點言歸於好算了吧!」山貓面帶憂色,卻又勉強撐起威風地開口。橡子們卻異口同聲地起鬨。


「いえいえ、だめです、なんといったって頭のとがってるのがいちばんえらいんです。そしてわたしがいちばんとがっています。」


「不行!不行!怎麼說也應該是頭最尖的最偉大!而我的頭就是最尖的!」


「いいえ、ちがいます。まるいのがえらいのです。いちばんまるいのはわたしです。」


「不對!應該是頭最圓的最偉大!而我的頭正是最圓的!」


「大きなことだよ。大きなのがいちばんえらいんだよ。わたしがいちばん大きいからわたしがえらいんだよ。」


「最大的才是!最大的才最偉大!我身子最大,所以應該是我最偉大!」


「そうでないよ。わたしのほうがよほど大きいと、きのうも判事さんがおっしゃったじゃないか。」


「才不是你!我比你大得多了,昨天法官不也這樣說過了?」


「だめだい、そんなこと。せいの高いのだよ。せいの高いことなんだよ。」


「不行!這怎麼行?應該是最高的!最高的才最偉大!」


「押おしっこのえらいひとだよ。押しっこをしてきめるんだよ。」


「應該是力氣大的!應該比力氣決定才對!」


もうみんな、がやがやがやがや言って、なにがなんだか、まるで蜂はちの巣すをつっついたようで、わけがわからなくなりました。そこでやまねこが叫びました。


大家你一言我一語,好像戳到蜂窩似的,嗡嗡作響,弄得旁聽的人糊里胡塗。山貓只好叱喝一聲:


「やかましい。ここをなんとこころえる。しずまれ、しずまれ。」


「吵死了!你們把這裡當什麼地方看了?肅靜!肅靜!」


別當がむちをひゅうぱちっとならしましたのでどんぐりどもは、やっとしずまりました。やまねこは、ぴんとひげをひねって言いました。


馬車夫再度咻一聲揮了皮鞭,橡子們才安靜下來。山貓把鬍鬚捻直後,又說道:


「裁判ももうきょうで三日目だぞ。いい加減に仲なおりしたらどうだ。」


「今天已是審判的第三天了,你們就省事點言歸於好怎樣?」


すると、もうどんぐりどもが、くちぐちに雲いました。


「いえいえ、だめです。なんといったって、頭のとがっているのがいちばんえらいのです。」


剛說罷,橡子們已經開始你一句我一句地爭論起來了。「不行!不行!怎麼說也應該是頭最尖的才最偉大!」


「いいえ、ちがいます。まるいのがえらいのです。」


「不,不對!應該是頭最圓的最偉大!」


「そうでないよ。大きなことだよ。」がやがやがやがや、もうなにがなんだかわからなくなりました。山貓が叫びました。


「不對!最大的才是!」橡子們嘰嘰呱呱地,已經讓人聽不清在說什麼了。山貓吼道:


「だまれ、やかましい。ここをなんと心得る。しずまれしずまれ。」


「吵死了!你們把這裡當什麼地方看了!肅靜!肅靜!」


別當が、むちをひゅうぱちっと鳴らしました。山貓がひげをぴんとひねって言いました。


馬車夫再度咻一聲揮了皮鞭。山貓把鬍鬚捻直後說道:


「裁判ももうきょうで三日目だぞ。いい加減になかなおりをしたらどうだ。」


「今天已是審判的第三天了,你們就省事點言歸於好怎樣?」


「いえ、いえ、だめです。あたまのとがったものが……。」がやがやがやがや。


「不行!不行!怎麼說也應該是頭最尖的……」嘰嘰呱呱嘰嘰呱呱嘰嘰呱呱……


山ねこが叫びました。


山貓再度大吼:


「やかましい。ここをなんとこころえる。しずまれ、しずまれ。」


「吵死了!你們把這裡當什麼地方看了!肅靜!肅靜!」


別當が、むちをひゅうぱちっと鳴らし、どんぐりはみんなしずまりました。山貓が一郎にそっと申しました。


馬車夫再度揮響皮鞭,橡子們又安靜下來。山貓悄悄地問一郎:


「このとおりです。どうしたらいいでしょう。」


「你看到了吧,你說這該如何解決?」


一郎はわらってこたえました。


一郎笑著回答:


「そんなら、こう言いわたしたらいいでしょう。このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらいとね。ぼくお説教できいたんです。」


「那這樣好了,你就跟他們說,你們當中最笨的、最丑的、最不象樣的才是最偉大的。我曾聽過佛經上這樣說的。」


山貓やまねこはなるほどというふうにうなずいて、それからいかにも気取って、繻子しゅすのきものの胸えりを開いて、黃いろの陣羽織をちょっと出してどんぐりどもに申しわたしました。


山貓恍然大悟地點點頭,再裝腔作勢地敞開黑緞長衫的領口,稍稍亮出裡頭的黃色斗篷,對橡子們宣布:


「よろしい。しずかにしろ。申しわたしだ。このなかで、いちばんえらくなくて、ばかで、めちゃくちゃで、てんでなっていなくて、あたまのつぶれたようなやつが、いちばんえらいのだ。」


「好了,各位安靜一下,我要宣判結果了。你們當中最不偉大的、最笨的、最丑的、最不象話的、頭最扁的,才是最偉大的。」


どんぐりは、しいんとしてしまいました。それはそれはしいんとして、堅かたまってしまいました。


橡子們靜默無聲,個個愣頭愣腦地僵立在原地。


そこで山貓は、黒い繻子の服をぬいで、額の汗あせをぬぐいながら、一郎の手をとりました。別當も大よろこびで、五六ぺん、鞭むちをひゅうぱちっ、ひゅうぱちっ、ひゅうひゅうぱちっと鳴らしました。やまねこが言いました。


山貓見狀,趕忙脫下黑緞長衫,一邊抹去額上的汗珠,一邊拉起一郎的手。馬車夫也高興得將皮鞭咻……咻……地揮了五六下。山貓對一郎說:


「どうもありがとうございました。これほどのひどい裁判を、まるで一分半でかたづけてくださいました。どうかこれからわたしの裁判所の、名譽めいよ判事になってください。これからも、葉書が行ったら、どうか來てくださいませんか。そのたびにお禮はいたします。」


「謝謝,真是謝謝。這麼難纏的審判,你竟然只花一分半鐘就全部解決了。請你往後就當我這個法庭的名譽法官。以後若再接到明信片,能不能勞駕你來一趟?我會每次都備上謝禮。」


「承知しました。お禮なんかいりませんよ。」


「好的,不過不用準備謝禮了。」


「いいえ、お禮はどうかとってください。わたしのじんかくにかかわりますから。そしてこれからは、葉書にかねた一郎どのと書いて、こちらを裁判所としますが、ようございますか。」


「不,這謝禮你一定要收下。這和我的人格有關。還有往後的明信片上,收信人就寫金田一郎先生,我這邊則自稱法庭,你覺得怎樣?」


一郎が「ええ、かまいません。」と申しますと、やまねこはまだなにか言いたそうに、しばらくひげをひねって、眼をぱちぱちさせていましたが、とうとう決心したらしく言い出しました。


「沒問題。」一郎說完,山貓好像還想說什麼,眨動著雙眼又一直捻著鬍鬚,好半天才下定決心開口:


「それから、はがきの文句ですが、これからは、用事これありに付き、明日みょうにち出頭すべしと書いてどうでしょう。」


「還有,明信片上的用辭,以後我就寫成:因有事情,請明日務必出庭。這樣好嗎?」


一郎はわらって言いました。


一郎笑著回答:


「さあ、なんだか変ですね。そいつだけはやめた方がいいでしょう。」


「聽起來好像有點怪怪的,不要這樣寫比較好吧。」


山貓は、どうも言いようがまずかった、いかにも殘念だというふうに、しばらくひげをひねったまま、下を向いていましたが、やっとあきらめて言いました。


山貓似乎感到自己表達得不好,遺憾萬千地低著頭捻了一會兒鬍鬚,最後才死心地說:


「それでは、文句はいままでのとおりにしましょう。そこで今日のお禮ですが、あなたは黃金きんのどんぐり一升しょうと、塩鮭しおざけのあたまと、どっちをおすきですか。」


「好吧,辭句就照原來的寫好了。至於今天的謝禮,你喜歡一升的黃金橡子,或是咸鮭魚的魚頭?」


「黃金のどんぐりがすきです。」


「我喜歡黃金橡子。」


山貓は、鮭しゃけの頭でなくて、まあよかったというように、口早に馬車別當に雲いました。


山貓對一郎沒選鮭魚魚頭之事,似乎鬆了一口氣,向馬車夫快口吩咐:


「どんぐりを一升早くもってこい。一升にたりなかったら、めっきのどんぐりもまぜてこい。はやく。」


「快給我拿一升橡子來!如果不夠一升,攙些鍍金的進去!快!」


別當は、さっきのどんぐりをますに入れて、はかって叫さけびました。


馬車夫將剛剛那些橡子裝進量筒里,然後大叫:


「ちょうど一升あります。」


「正好是一升!」


山ねこの陣羽織が風にばたばた鳴りました。そこで山ねこは、大きく延びあがって、めをつぶって、半分あくびをしながら言いました。


山貓的斗篷隨風啪嗒啪嗒起舞,他大大伸了個懶腰,閉上眼睛,邊打呵欠邊說:


「よし、はやく馬車のしたくをしろ。」白い大きなきのこでこしらえた馬車が、ひっぱりだされました。そしてなんだかねずみいろの、おかしな形の馬がついています。


「好,快去準備馬車!」一輛用白色大草菇做成的馬車被牽了過來,而且還有一隻灰色的、奇形怪狀的馬。


「さあ、おうちへお送りいたしましょう。」山貓が言いました。二人は馬車にのり別當は、どんぐりのますを馬車のなかに入れました。


「來,讓我們送你回家吧。」山貓對一郎說。兩人上了馬車後,馬車夫再把那升橡子放進馬車。


ひゅう、ぱちっ。


咻!咻!咻!


馬車は草地をはなれました。木や藪やぶがけむりのようにぐらぐらゆれました。一郎は黃金きんのどんぐりを見、やまねこはとぼけたかおつきで、遠くをみていました。


馬車騰空飛離草地。樹木與草叢像煙雲般裊裊婷婷。一郎低頭望著黃金橡子,山貓則假裝若無其事地眺望著遠方。


馬車が進むにしたがって、どんぐりはだんだん光がうすくなって、まもなく馬車がとまったときは、あたりまえの茶いろのどんぐりに変っていました。そして、山ねこの黃いろな陣羽織も、別當も、きのこの馬車も、一度に見えなくなって、一郎はじぶんのうちの前に、どんぐりを入れたますを持って立っていました。


隨著馬車漸行漸遠,橡子也逐漸失去黃金色光澤,待馬車停下來時,竟都變成平常的茶褐色橡子。而山貓那身黃斗篷、馬車夫、草菇做成的馬車,也在眨眼間通通消失了。只剩下一郎抱著裝滿橡子的量筒,站在自己家門口。


それからあと、山ねこ拝というはがきは、もうきませんでした。やっぱり、出頭すべしと書いてもいいと言えばよかったと、一郎はときどき思うのです。


那以後,他再也沒收到署名山貓敬啟的明信片了。一郎有時候會想,如果當時同意讓山貓寫成「請明日務必出廷」就好了。


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作者:和邪社倉舞,射手座,坐標西安 。混跡創投圈的職場墨客,鴛鴛相抱何時了,鴦在一旁看熱鬧,天下大同~

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